昔は稲の苗を水を張った田圃で作っていた。苗を作るための田といって苗代田といった。
といってもこの場合の苗は手植え苗のこと。手植えをする場合の苗は成苗といい、葉が7枚ほどまで成長したところで田植えをする。
しかし、この成苗では機械で植えるには大きすぎて不向きだった。そこで開発されたのが育苗箱をつかったマット苗だ。根が絡み合い、持ち上げると1枚のマットのようになる。
このマット苗は葉が4枚ほど成長した段階の稚苗と呼ばれる早い段階で田植えされる。また田植え機械は手植えとは比べ物にならないほどに根を切って植えられることになる。
たまに田植え体験と称して園児や大人もこのマット苗を手でちぎって田植えをしている場面がある。しかし、このマット苗は機械のために考案されたものである。
そのことを考えると、手植えによる田植えの体験としては間違っている。本当の(手植えの)田植えとは、苗代田から苗を取ってきて、田植えをするのが望ましい。この流れが昔の田植えである。
そんな手植えの時代から機械植えの時代になったのだが、機械が登場してきた当初は箱苗の土は一つ一つの農家は自分たちで作っていた。
しかし、今は多くの農家は農協が販売する育苗用土を購入している。少々高いが、排水性、保水性、肥料分など全て整っており、なにも手をかけずに済む。去年はうちでもこれを購入した、せざるを得なかった。
しかし、今年はまた一昔前に戻った方法を取る。畑でも水稲でも、わが農園はどれも一昔前に戻ったようだ。
たんぼからもっこもちを使い、土を取ってきて乾燥させているのが上の写真だ。まだまだゴロ土ばかり。
これを、破砕機・ふるいにかけて籾殻薫炭とぼかしを混ぜて育苗用土とする。
できるならば、もっと昔に戻り、苗代田で苗を作り、成苗1本植えをしたい。なぜなら、このほうが根をいためず、元気な苗を植えられるためだ。