一人で仕事をしていると何かと不便なのがシートをたたんだり、重たいものを持ち上げたり、ホースの蛇口を閉めに行くのでさえ3倍の時間がかかってしまうこと。
今日も「あぁもう一人だれかいてくれたらなぁ」と思いながら庭石を必死に持ち上げていた。
そんな自分の一人農業だがとてもつよい見方がいる。
それはバックホーだ。去年、ブルーベリーのバークチップを運ぶのにどうしても必要だったので購入した。
まだまだ手のようにうまくは扱えないものの、80kgか100kgかわからないが重くてつかみどころのない石も簡単に動かしてくれる。
庭を改造したといっても倉庫への通路を1mほど拡張するため庭のスペースを削り取った。
大きい庭石が6つと、生垣になっていた木が2本、その奥に植えてあったボタンの木が2本。
生垣の木は切ってしまったが、ボタンは庭木のあいた所に植えなおした。
バックホーで土をえぐっていると横から祖母が顔を覗き込ませ「ここらへんにシャクヤクをうえとったんやけどねぇ~」
っと、後になって思い出したのだろう、すでに跡形はなかった。
ボタンの木は地上部が残るが、シャクヤクは地下茎だけ残り、地上部は枯れてしまうため新芽が出てこなければどこに生えていたのかわからなくなる。
祖父母が長年親しんできた庭を自分がいろいろと改造してしまう。
シャクヤクが消えてしまい寂しそうな面影で立ち去る祖母に申し訳けない気持ちがつのる。
植え替えたボタンも地上部からは想像もできないほど根が張っていた。根の大部分を切り取ってしまったため、ちゃんと植え替えがうまくいくか心配だ。
自分なりに仕事がしやすいようにいろいろと手を加えるのだが、仕事が生活である農家では自分の仕事が祖父の生活を奪っているようで、なんだかこれでいいのか不安になる。