先祖からの言い伝え


img_3815「米は早く刈らんと旨くない」

宗像ではほとんどの農家が口をそろえていう。先祖からの言い伝えと言うには大げさかもしれないが、このような知恵は長年にわたり言い伝えられ、農業の基本技術とも捉えられるようなもので、当たり前、常識のような感覚がある。

しかし、この常識を常識とせず、自ら体感しなければ本当に理解したとは言えない。

はたして、農家のどのくらいの人が刈り遅れた米を比較して味わったことがあるのだろうかと思う。たしかに、今年は全般的に刈り遅れたから米の味が悪い、というような会話が聞こえてきそうだが、そのようなことを聞いたことはない。

なぜならほとんどの人が刈り遅れたら旨くないといわれていることを知っているため、なるべく早く刈る努力をする。どの田圃を見ても、ぐーたらに稲刈りが遅れるような田圃は滅多にない。

また、若干刈り遅れた田圃があったとしても、籾摺りの時にはすべての米が混ざった状態で籾摺りをするため、刈り遅れた田圃の米だけを食べることはあまり無い、いやほとんどない。旨くないといわれるような米をあえて残して食べるだろうか。

常識を疑う。ある種のテレビ番組でもよく言われるようなフレーズだが、この常識を自分は疑ったのは実際に刈り遅れた米を実際に去年食べたからだ。

それは、自然農法を自称して作られている知人から分けていただいたお米だ。

自然農法は不耕起・無肥料・無農薬で、稲刈りは通常の時期から1ヶ月遅く、また掛け干が基本。しかも、掛け干を1ヶ月もするようだ。

稲刈りが通常の時期から1ヶ月も遅いとなると、稲の葉はすべて枯れあがっているような状態だ。しかし、その米が去年はおいしかったのだ。

稲刈りのタイミングは穂の写真を見てもらいたい。穂軸の色が3分の2まで黄化した時期が収穫の適期とされている。この写真では見えないがおおよそ黄化しているのは先端の1cm程度だろう。

刈り遅れた場合、胴割れ米や茶米が多くなるとされている。逆に早刈りしすぎると青米が多くなり収量が減る。この場合、収量が減るだけで、食味が良いというのであれば早刈りしたほうが良いことはわかる。

青米でなくても完全に当熟しきっていないのが早狩りの状態となる。どんな果実でも、完熟に近づくまで植物体に付いているほうが実というのは熟しておいしくなるのが普通ではないだろうかと考えた。

そこで、同じ田圃の稲で、収穫時期の違いがどの程度食味に影響があるかを実際に食べ比べてみようとおもった。

今日は2回目の収穫となる。4日おきに稲株25株を手刈りし、納屋の雨が当たらないところで掛け干している。

水分が15%程度になったときに脱穀し、すべての収穫時期の米において準備が整い次第、5つのはんごうでそれぞれのお米を焚き、食べ比べをする予定だ。

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“先祖からの言い伝え” への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    兵庫県で稲作りをしている者です。
    興味深く読ませて頂きました。

    確かに、完熟するまで植物体に付いていた方が、おいしくなりそうな気がします。

    実はわが家も今年は田んぼが乾かず、少し遅めの稲刈り予定です。
    刈り遅れは品質が落ちるという通説が気になり、焦りもありますが、おっしゃるようなことになればいいなぁと思いました。

    食べ比べの結果、楽しみにしています。

    • コメントありがとうございます。
      先日、久しぶりに会った乳業会社の先輩は、自分なら実際に食味値を測るなどして科学的に分析してみたいといっていました。
      収穫時期が食味値に及ぼす影響などは学術的にももちろん調査されているはずです。
      そういったことも勉強しておくべきですが、やはり自分の舌で確かめてみたいですね。