米戸別所得保障制度と水田利活用自給率向上事業


政権が民主党に変わりいろいろなことが変わってくる中、農政も大きな転換期となった。

自分は政治には疎くあまり考えたくない。しかし、今回ばかりは考えないわけにはいかない。

農業新聞もこの制度の解説特集号を出していた。先日の農協の水稲作付け誘導方針の説明会の時に頂いた。

見出しには「すべての稲作販売農家を対象に」の文字。

しかし、依然として主食用米は生産過剰が続いている。ということは生産目標数量(減反)を達成しない農家まで一律に支払われるわけはない。

もちろんすべてではなく、減反を守った農家である。今までは減反を守っただけでは補助金はなかった。

ちなみに我が家の減反率(生産目標数量)は48.5%(2009年度)だった。つまり、半分は水稲を作付けてはいけないというわけだ。

しかし、昨年の水稲作付け面積の割合はほぼ9割。ほとんど減反していない。

なぜかというと減反すると生活できないからだ。もちろん自分が米を多くつくることで全国で米あまりが起き、米価格が下落し、さらに稲作農家が窮地に立たされることになるのはわかる。

きれいごとを言うつもりはない。仕方が無いとしか言いようがないこの状況。

話しを政策に戻すと、当園は昨年同様の作付けをすると、この戸別所得保障制度の対象にはならないのである。

もし、昨年同様の減反率で減反をし、この制度の対象になる様に作付けを行った場合の単純な計算をしてみた。

我が園の田んぼの面積は今年度は37反。これに48.5%の減反の面積は17.945反。

1反につき15000円の助成なので全部で269175円。

もし、この17.945反に水稲を植え、農協出荷した場合はどうなるかというと

1反あたり8俵×12500円×17.945反=1794500円

当園の場合は特別な栽培方法に加え戸別販売なので単価は相当額になり、差額はもっと大きくなる。

仮に他の作物、大豆を転作し大豆の収穫高+補助金を計算しても面積が少ないため経費がかかりすぎてしまうだろう。

もし減反したとしても水稲の機械は同じだけ必要なわけで、経費はほとんど変わらない。

これが減反が簡単に出来ない大きな理由だ。

さらに水田利活用自給率向上事業は今までの転作による補助金と同じ性質になろうとおもうのだが、光岡区には転作をしている農家はいない。

大豆の刈り取り用の機械などは普通、周辺の農家が共同で購入したりするが、光岡に転作をしようとする農家がいないため一個人で転作をするには機械の費用対効果の上でも導入は不可能に近い。

結局のところ、今回の農政事業でも我が農園は蚊帳の外、ということになりそうだ。

正直に言って今日本の農業の方針に背く作付けしか出来ないことにもどかしい思いでいる。

これから先、自分から光岡の農業を変えていきたい。

それはただ単に農政の行う補助金制度に則った農業ではない、やってて面白い農業に。(転作農家、通称米麦大豆の農家は上司がいない、気が楽というだけで収入は大卒並みで決して面白いとは思えない)

そのためには今はまだ米を無農薬で安定して生産すること、それが第一だと考える。

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“米戸別所得保障制度と水田利活用自給率向上事業” への2件のフィードバック

  1. とも補償はご存じですか。
    地区によって違うかもしれませんが、
    10a当たり3000円程度拠出すれば
    転作したと見なされます。
    当然、戸別所得補償も受けられます。
    お得ですよ。

  2. 解りやすい!!
    なぜ減反が出来ないのかやっと俺も理解できて気がする。